多賀城創建1300年記念事業

GOODS

クロストーク

クロストーク

かけがえのない歴史的な価値を
未来に伝えていくために。

多賀城創建1300年を記念し、深谷晃祐市長と本間秋彦さんが対談。悠久の歴史に思いを馳せながら、多賀城の今と未来について語り合います。

  • フリー・パーソナリティ

    本間秋彦
    (多賀城市在住)

  • 多賀城市長

    深谷晃祐

多賀城ってしみじみ「いいところだな〜」と思います 本間
深谷
本間さんは多賀城市に住んでもう8年目と伺いましたが、住み心地はいかがですか。
本間
すごく気に入っています。まずは利便性のよさ。商業施設がたくさんあるので普段の買い物はまったく困らないし、私自身の主な仕事場となる仙台市中心部へのアクセスもいい。街なのに夜が静かなところもいいですね。
あとは、釣りが好きなので七ヶ浜に行くにしても塩竈に行くにしても“釣り船まで近い”ということも大事ですね(笑)
深谷
ありがとうございます(笑)。他に、住んでみて実感したことなどありますか?
本間
もともと歴史とか考古が好きで大学時代にも学んでいましたが、将来は故郷の牡鹿半島に帰ってくじら博物館で働こうと思って、実は学芸員任用資格も取ったんですよ。
そういう経緯もあるので、ひとことで言えば「多賀城って最高!」ですね。政庁跡があるし南門も復元されているし、多賀城廃寺跡もあるし、今は何もないところに行くだけでも「そうか、ここに寺があったんだ!」とテンションが上がるんです。当時に思いを馳せながら想像することでごはんが食べられるタイプなので(笑)
深谷
本間さんは正真正銘の歴史マニアですね(笑)。
同様に私も、現在は何もないところで過去を思うのもまた、多賀城の歴史の楽しみ方だと教えられました。
それにしても学芸員任用資格をお持ちとは驚きました。
本間
本当に好きなだけなんですよ。今でも時間ができればふらっと出かけて、その場に佇んで想像したり写真を撮ったりして楽しんでいます。
深谷
それも趣がありますね。一方、ホームタウンということで言えば、市長の立場がどうのではなく、私自身本当に多賀城市は日本一住みやすい街だと思っています。
海にも山にも近いし、寒すぎず暑すぎず、冬場は雪も少ない。創建1300年を機に多賀城市の住みやすさ暮らしやすさについても、もっとアピールしていきたいと考えています。
本間
いいですね。実際に住んでみるとよくわかるんですが、多賀城市は移動を含めた日常生活すべてにおいて『ラク』なんですよ。そこがしみじみ「いいところだな〜」と思います。
また個人的には、急な坂道が少ないことも気に入っています。仕事では基本的に自分の車で移動しているので、特に冬場は雪道への心配もなく気がラクです。マンモス坂は別ですが(笑)
深谷
確かにあの坂は別物ですね(笑)
そこに立てば1300年前と同じ風を感じられると思います 深谷
深谷
現在、多賀城市では『多賀城創建1300年』に向けてさまざまな取り組みを行っていますが、1300年という歴史に対してはどういう印象ですか?
本間
1300年って他になかなかないですよ。1300年前に多賀城という城があったところで現在我々が生活しているわけですから、そう考えるだけでもすごいことですよね。
深谷
そうなんです。だからこそこの事業をもっと盛り上げていきたいと思っています。
本間
さまざまな事業ももちろん大事だと思いますが、それよりもまず、多賀城という城があったという事実を、皆さんにもっと想像してもらうことが大きなきっかけになると思います。1300年前はここが東北の中心だったということも踏まえて。
深谷
想像するって大事ですよね。1300年前にここにいた人々の思いを想像することは学びにもつながると思うし、これからの多賀城に対するヒントも見出せるかもしれないし。
本間
我が家でも多賀城の歴史に関して「あれはどういうことなの?」と話題になったりしますが、その時には「仕方ないなあ、どれどれ」という感じで、自分の想像を加えながら説明役を担っています(笑)。
ひとりの多賀城市民として最低限の知識は身につけておきたいですよね。
深谷
私も日々勉強の積み重ねです(笑)。ただ、知れば知るほど多賀城の魅力はかけがえのないもので誇りに感じますし、史跡があるその場に立つと1300年前と同じ風を感じることができるとも思います。この価値も多賀城ならではですよね。
本間
“風を感じる”なんて市長カッコ良すぎですよ!でも思いは同じです。ぜひ風を感じる経験してほしいですね。
もっと『お祭り』として盛り上げていきたいですね 本間
深谷
現在進行中の『多賀城創建1300年』に関するさまざまな事業ですが、本間さんのご経験を踏まえて「こんなことをやってみたら」という助言をいただけたらと思います。
本間
やはり『お祭り』ではないかと思います。私自身、大のお祭り好きで、仙台の『すずめ踊り』も立ち上げから関わっていたり、地元牡鹿の『鯨まつり』も司会を含めて自分たち地元の仲間たちで運営したり。だからこそ今回、ひとりの多賀城市民として「この創建1300年の盛り上げをどうするんだろう?」と勝手に考えた時、真っ先に『お祭り』が思い浮かんだんです。
そして、これは願望でもあるんですが、昔の行列を再現して平安朝のようなものすごい行列を見てみたいですね。みんな装束を着て、絵巻物みたいな華やかさで。
深谷
ありがとうございます。実は記念式典の時に当時の染め方による衣装などを揃えてそれをやることはできないかと、現在検討しています。
本間
いいですね〜。ご年配の方から子どもまで、巻き込んでいろいろやりたいですね。それが創建1300年らしいお祭りにもつながると思います。
例えばワークショップを開いて、子どもたちは段ボールで甲冑を作ったり色を塗ったりして。
深谷
先日、東京の台東区浅草では地場産業で有名な革加工を活用して革製の法被を作り、そこに小学生たちが思い思いの絵を描き、それを高校生のダンスグループが羽織って踊り、さらに海外へと出向いて『浅草=革製品のまち』とアピールして盛り上げたというお話を伺いました。
地元の魅力を子どもたちがつないで世界に向けて日本のカルチャーを発信していく取り組みとして大成功したと。
本間
素敵ですね。世代を問わずみんなが参加できるってことはかけがえのない体験にもなりますね。子どもが動くとお年寄りたちも「どれどれ、んでは手伝うが」なんて、巻き込んでいく効果もあると思うし。
深谷
子どもたちが体験から学び、それを周りの大人たちが支えていく形ができれば可能性もいろいろと広がるでしょうし、子どもたちを中心とした動きがある、そして動きが見えると何より街全体が生き生きしてくると思います。
本間
そういう流れを作るためにも、大切なのはやっぱり『お祭り』だと思います。
深谷
さすがです。現在お祭りに関するプランはいくつか進行していますが、ぜひ本間さんにもお手伝いをお願いしたいです。
本間
お祭り好きな多賀城市民の代表として可能な限り協力させていただきます(笑)
子どもたちの誇りとなる多賀城にしていきたい 深谷
深谷
とある市民の方から「何をもって多賀城創建1300年記念事業の成功と考えますか?」とご質問をいただいたことがあります。私自身、まだ成功の基準ははっきりしていませんが、ひとつだけ言えるのは、創建1300年は決してゴールではなく新たなスタート地点に過ぎないということ。多くの市民に、自分たちの街を思う何かのきっかけになってもらえたらいいなと考えています。それがゴールであり成功になるのではないかと。
本間
創建1300年をきっかけに何かが始まる。とてもいいことだと思います。特に、これから未来を担っていく子どもたちにとっては忘れられない思い出になるし、誇りにもなる。
深谷
誇り、大切ですよね。それを創出する貴重な機会のひとつが創建1300年という節目でもあると思います。
本間
まさに多賀城でしか体験できないことになりますよね。
深谷
以前、富山県氷見市に出張した際に飲食店で「どこから来たの?」と聞かれたので「多賀城です」と答えたら「教科書で見たことある!」と返されて嬉しくなりました。
些細な体験ですが、生まれ育った街は自分自身のアイデンティティにも関わるわけですから、その誇りは次代を担う子どもたちにもきちんと伝えていきたいですね。
本間
わかります。私も出身を問われると「牡鹿半島の鮎川です」と答えています。子どもの頃からいろんなことをやって経験して成長してきた事実があるので、それはいくつになっても譲れない大切なことですね。
深谷
本間さんは今でも故郷をとても大切にしているし、テレビやラジオでの発言にも親近感があり、温かで地域に対する影響力も大きいと思います。
本間
テレビもラジオも実はアナログな2ウェイコミュニケーションの世界だと考えていて、好きなんですよ。
例えば放送で「多賀城跡のあやめ園のあやめが咲いたよ」なんて言うとすぐ「私も見ました」「五平餅食べたい!」なんてリアクションが来たりして。リアルなコミュニケーションは強いという実感があります。
深谷
そこなんですよね。SNSなどツールがいかに進化しようとも、深く伝えあえるのは生のコミュニケーションだと思います。そのあたりも意識して、今後市民の皆さんに対してできるだけリアル感、双方向性のある情報発信をしていこうと考えています。
本間
そういうのは得意なので(笑)何か発信する時には気軽に声をかけてもらえれば。
深谷
本当ですか!これほど頼もしく嬉しいことはありません。ぜひ今後とも『みんなに愛される本間ちゃん』としてご協力をお願いします。今日はお忙しいところありがとうございました。
本間
こちらこそありがとうございました。ぜひ『お祭り』一緒にやりましょう!

(聞き手・構成/鎌田高広)